「2009年12月」に書かれた記事

コメント代わりのつぶやき

  • 2009年12月08日 (火)

コメントであがった、検索サイトに関する記事を探している途中で寄り道して見つけた「長尾館長が語る、Google検索の限界とその先」の中で日本の国会図書館館長が大層なことを言ってますが、そのアーカイブを見てみたらほとんどが役所とその取り巻き団体のHP。一向冴えない当ブログ(の一部)までもが収蔵(?)されている”Internet Archive”とは比較にならず。誰かが文化とはシェイプされていない堆積物そのもののことだ云々と書いているのを見た記憶がありますが、日本の場合は文化を”お役所文化”の意味で用いている(こともある)らしい。片や”貴重な”公文書に限って捨て・隠し・改竄し、片やどうでもいいような広報文だけを大事にアーカイブする(せざるを得ない?)人たちをみていると、もはや彼我の差は技術発展の遅速の次元にとどまらないのではないかと。

書き始めたら収拾がつかなくなったのでばっさりカット。いずれ。

「キム王朝」と「財政改革」と「選挙の神様」

  • 2009年12月15日 (火)

この週末、録画していたドキュメンタリーを何本か見、一冊の本を読んだ。一度見た(読んだ)ものもあったし今回ようやく見たものもある。ひとつは北朝鮮の独裁体制成立にまつわるNHKのドキュメンタリー、ひとつは戰前の国会で”粛軍演説”を行った斉藤隆夫のドキュメンタリー、そして行財政改革に取り組み暗殺された浜口雄幸と井上準之助を取り上げた城山三郎『男子の本懐』。

北朝鮮の独裁体制成立の過程をたどったNHKスペシャルのシリーズ「ドキュメント北朝鮮」は2006年に放映されたドキュメンタリーということなので、丁度北朝鮮による日本人拉致がにわかにクローズアップされた時期に制作・放映されたわけだ。なかなか面白かった。一番印象的だったのは、金日成が(特に権力を確立するよりも前の時期に)彼の後盾であった各国の有力者に接するときのと立ち居振る舞いと金日成に対する金正日の振る舞いとがとても良く似ていたことだった。自信の無さ気な、相手に媚びるような視線・表情・態度がほんとうに瓜二つと言ってよいほどよく似ている。そして彼等二人がそれぞれ権力を確立した後の傲然とした態度がこれまた思わず笑ってしまうくらいに良く似ている。権力を握るまでの過程で見せる弱気とその後の豹変ぶりは、彼らが権力にのみ自己のアイデンティティを見いだしていることを容易に想像させる。その点で言うと、つい先頃までアメリカ合州国大統領として世界で最も強大な権限を握っていたともいえるブッシュ(息子)の、いかに一生懸命いかめしく見せようとしてもその能天気さが隠しようもなく滲み出ていた顔つきがとても可愛らしくすら思えた。

斉藤隆夫のほうもNHKだが、こちらは「そのとき歴史が動いた」というドキュメンタリーとしては出来の良くない番組(そもそもドキュメンタリーではないのかもしれぬ)なので、見た後に演説の詳細をネットで幾らか調べた。帝国議会の議事録がネットで閲覽できるようになっているものの画像ファイルのためテキストが簡単には抽出できないなのでここに引用しづらい。そこでネットで探索してみた所たいへん有り難いことに斉藤隆夫関係の情報をまとておられるサイトがあった。ちなみにwikipediaとは比較にならない程充実したサイトなのにgoogleではちょっとばかり見つけにくかった。
http://blechmusik.xrea.jp/d/saito/
以下、同サイトより昭和11年5月衆議院における斉藤隆夫の「粛軍演説」前半部分を引用してみる。

敢然して国政改革の断行を誓わるるに当りましては、天下何人と雖も之を歓迎しない者はないのであります。併ながら翻って考えて見ますると云うと、国政の改革、国策の樹立、之を唱えることは極めて易いのでありまするが、之を行うことは中々困難であります。固より是等の題目は今日初めて現われたのではない、又現内閣の新発明でも何でもない、従来政府之を唱え、政党之を唱え又有ゆる政治家が之を唱えて国民に向っては何かの期待を抱かせて居たのでありまするけれども、之を具体化して以て其の実行に着手したる者は殆ど見出すことが出来ないのである。
(中略)
吾々は随分長い間行政刷新、即ち行政機構の改革と云うことを聞かされて居る、例えば省の廃合であるとか、或は無任所大臣を新設する、其他中央地方の行政組織を根本的に改革して、之に依って行政を簡易化する、行政を刷新する、行政費を節約する、繁文褥礼の積弊を芟除する、斯う云う議論は随分長い間聞かされて居る、政府も之を唱えるし、政党も亦之を唱えるけれども、今日までそれが実行せられた例はないのであります。
(中略)
或は又近頃各地に於て人権蹂躙の問題が起って居りますが、其事実を聞きますと、実に驚くべきものがある、所謂粛正選挙、選挙取締を励行することは極めて宜い事でありますが故らに……
(「内務大臣どうした」「大臣の出席を求めます」と呼ぶ者あり)
犯罪を製造するが為に法規を濫用して、濫りに人民の自由を拘束する、人民の自由を拘束するばかりではない、強いて虚偽の自白を求むるが為に之を虐待し、之を拷問し、或は人身に傷を負わせ甚しきに至っては拷問の結果、良民を死に至らしめたものがある
(拍手)
何たる野蛮の行為でありましょう

http://blechmusik.xrea.jp/d/saito/s13/
斉藤隆夫の演説記録を読みながら頭に浮かんだ言葉は「十年一日」。齋藤の演説のほんの数年前「構造改革」に取り組んで暗殺された二人の政治家を扱う『男子の本懐』の読後感もまったく同様である。行政改革・財政健全化・国家の成長戦略といった争点は80年前のあの頃も今もまるで変化がない。「選挙の神様」までがよく似ている、安達謙蔵という人物の来歴を眺めていてふとそう思った。

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価格:660円

(2009/12/23追記)
国会速記録から齋藤の粛軍演説全文をテキスト化してみた。
「斉藤隆夫「粛軍演説」全文(旧仮名旧字体)」

(読書メモ)三崎亜記『失われた町』

  • 2009年12月21日 (月)

この作家のデビュー作『となり町戦争』も相当面白かったがこの作品もまた楽しめた。何気なく「楽しめた」と畫いてはみたけれども含蓄のある作品でしたよ。 今年読んだ文学作品の中のベスト1(ただし出版されたのは2006年です、ハイ)。
ちなみに村上春樹の1Q84はまだ読んでいない。文庫版まだですか〜、まだでしょうね。粗筋を知って一層興味津々になった。ええ、私はネタバレしてても文学を楽しめる人間です。というか粗筋が分ってしまったらつまらなくなるのはハリウッド映画だけでよろし。

失われた町 失われた町
三崎 亜記
価格:1680円

斉藤隆夫「粛軍演説」全文(旧仮名旧字体)

  • 2009年12月23日 (水)

先日のエントリ「『キム王朝』と『財政改革』と『選挙の神様』 」で触れた斉藤隆夫の所謂「粛軍演説」について国会会議録サイトの速記録を読むついでにテキスト化した。なお現代仮名遣いのテキストは既にウェブ上にも複数存在するため、改めて同様のものをここに書き出すことに意義は無いと考えている(註1)。そのためここでは敢えて旧仮名遣いをそのまま記すこととし、その上で齋藤の質問演説に対する寺内寿一陸軍大臣の答弁を末尾に付記した。
なお、余談として日本語入力ソフトウェアについ書いておくと、最近のATOKには文語モードがあるので旧仮名遣いでも入力になんの苦労もない(私が使っているのはATOK X3 for Linux)。ただ、それでも漢字の旧字体(例:「旧字体」=「舊字體」)を(スムーズに)変換入力することができないので、ウェブ上に存在するATOK用の辞書(註2)を利用させてもらって効率化している。有り難うございます。

註1:テキスト化することによって、現代仮名旧仮名のいずれの場合にも存在する難読(難変換)漢字等についてウェブ辞書参照の利便を図ることには一片の意義はあるかもしれないと考えている。
註2:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/1959/Data/index.html

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