「2008年12月」に書かれた記事

老子のテクストを連載する

  • 2008年12月3日

昨年の冬籠もり中、エドウィン・フィッシャーの『音楽を愛する友へ』を読んだことをきっかけに、ぼつぼつと老子を読み返していた。老子の白文・書き下し文・私訳を書き留める作業をやっていたが、81章中61章まで終えたところで停滞したまま、どうやら越年しそうであるので、この際このブログに掲載して通読を果たそうと思いたった。また、ブログの移転によりサイト自体の文字コードが漢字表記に適したものになったことでもあり「ブログ移転記念(!)」との含みもある。
ところで、老子に関しては、無学非才の私ごときがそのようなことをせずとも、既に(書籍はおろか)ネット上にも見るべきテクストが複数存在するので、いちおう個人的メモとして順次掲載することにする(よって随時、訂正加筆することもある)。

  • 白文の改行は文意に随い恣意的に行つた。
  • 書下し文は参考文献も参照しつつ恣意的に改変している。
  • 参考文献:松枝・竹内監修 奥平・大村訳『中国の思想6』徳間書店1996 ほか

この通読のみならずブログ掲載作業まで滞らぬよう気をつけたい・・・。

老子道徳経より(一)

  • 2008年12月3日

道可道 非常道
名可名 非常名
無名天地之始 有名万物之母
故常無欲以観其妙 常有欲以観其徼
此両者同出而異名
同謂之玄
玄之又玄 衆妙之門


道の道とすべきは、常の道に非ず。
名の名とすべきは、常の名に非ず。
無は天地の始に名づけ、有は万物の母に名づく。
故に、無は常に以て其の妙を観(しめ)さんと欲し、有は常に以て其の徼(きょう)を観さんと欲す。
此の両者は同じ出にして而も名を異にす。
同じく之を玄と謂う。
玄のまた玄は衆妙の門なり。

私家版老子道徳経目次

老子道徳経より(二)

  • 2008年12月4日

天下皆知美之為美 其悪已
皆知善之為善 其不善已
故有無相生 難易相成
長短相較 高下相傾
音声相和 前後相随
是以聖人処無為之事行不言之教
万物作焉而不辞 生而不有
為而不恃 功成而弗居
夫唯弗居 是以不去


天下皆美の美たるを知る。其れ已に悪なり。
皆善の善たるを知る。其れ已に不善なり。
故に有無相生じ、難易相成り、長短相較べ、高下相傾き、音声相和し、前後相随う。
是を以て聖人は、無為の事に処り、不言の教を行う。
万物作りて而も辞せず、生じて而も有せず、為して而も恃まず、功成りて而も居らず
夫れ唯だ居らず、是を以て去らず。

私家版老子道徳経目次

老子道徳経より(三)

  • 2008年12月5日

不尚賢使民不争
不貴難得之貨使民不為盗
不見可欲使民心不乱
是以聖人之治
虚其心実其腹
弱其志強其骨
常使民無知無欲使夫知者不敢為也
為無為則無不治


賢を尚ばざれば民をして争わざらしむ。
得難き貨を貴ばざれば民をして盗を為さざらしむ。
欲すべきを見せずば民をして心乱れざらしむ。
是を以て聖人の治とす。
其の心を虚しうして其の腹を実らす。
其の志を弱くして其の骨を強くす。
民をして常に無知無欲ならしめば夫れ知者をして敢て為さざらしむ也。
無為を為さば則ち治まらざる無し。

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老子道徳経より(四)

  • 2008年12月6日

四 (和光同塵)

道沖而用之或不盈
淵兮似万物之宗
挫其鋭解其紛和其光同其塵
湛兮似或存
吾不知誰之子
象帝之先


道は沖なれども之を用うれば或は盈(み)たず。
淵として万物の宗に似る。
其の鋭を挫き、其の紛を解き、其の光を和し、其の塵に同じうす。
湛として存する或るに似る。
吾れ誰れの子なるか知らず。
帝の先きに之れ象たり。

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BGMの効用

  • 2008年12月7日

ちょっと前に、常用しているUbuntuOSの(kernel2.6.24-22への)アップデートをきっかけにPCから音が出なくなって困っていた。原因が分からず、さらには原因を究明する技術も時間もなく、音無しの寂しいPCライフを余儀なくされていたが、ようやく今日、原因不明のままなれどサウンド機能が復活した(別件でBIOSを初期化・再設定したらなぜかサウンド機能も復旧した)。おまけのおまけに、なんとなく以前より音が良くなったような気もする(眠っていたHDオーディオ機能がようやく正常に機能しだしたのか?)。それで今、クラプトンの「クロニクル」を聴きながらご機嫌でこれを書いている。やっぱ音があるのと無いのとでは違うよ、うん。

  • 以前も書いたとおり、日常的に使っているOSはWindowsではなくUbuntu。
  • 音楽再生ソフトはRhythmbox(Linuxにもたくさんの再生ソフトがある)。
  • スピーカーは10年位前に買ったDell製PCのおまけのハーマン/カードン。

ハードウェアには大した費用もかかっていない。スピーカーがちっぽけなせいでさすがにフルオーケストラの再生音質は厳しいが、室内楽を聴く程度には実用十分、それ以上。Ubuntu(Linux)でも、ハードウェアの問題(サウンドカードが認識されるとかされないとか等)さえクリアできれば音楽再生は至極快適。私的には、CreativeLabのE-MUがUbuntu上で”簡単に”動くようになればもっと幸福になれるはずなんだけどね・・・。

関連エントリ:

老子道徳経より(六)

  • 2008年12月8日

谷神不死是謂玄牝
玄牝之門是謂天地之根
緜緜若存用之不勤


谷神は死なず是を玄牝と謂う。
玄牝の門是を天地の根と謂う。
緜緜として存する若く、之を用いて勤せず。

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老子道徳経より(七)

  • 2008年12月10日

天長地久
天地所以能長且久者以其不自生
故能長生
是以聖人
後其身而身先外其身而身存
非以其無私邪
故能成其私


天は長く地は久し。
天地の能く長く且つ久しき所以は、其の自ら生きざるを以てなり。
故に能く長生す。
是を以て聖人とす
其の身を後にして而も身先んじ、其の身を外にして而も身存す。
其の私なきを以てに非ずや。
故に能く其の私を成す。

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カネカネカネからカネカネカネ

  • 2008年12月14日

けふは中途半端な一日であつた。やらねばならぬことは片付かず、やりたいことは手ぇ付かず。少しばかり本を読んで、日暮れて道通しの思ひ深まる。普段ならいささか鬱陶しいと感じる福田恆存の人間論がけふは何気に心にじんと来る。
米自動車産業救済法廃案などの報に接して、ひとまずは他人事ながら来し方行く末を思ふ。

老子道徳経より(八)

  • 2008年12月17日

上善若水
水善利万物而不争処衆人之所悪
故幾於道上善若水
居善地
心善淵
与善仁
言善信
正善治
事善能
動善時
夫唯不争
故無尤


上善は水の若し。
水は善く万物を利して而も争わず、衆人の悪む所に処る。
故に道に幾(ちか)し。
居るに善く地、心に善く淵、与うるに善く仁、言に善く信、正すに善く治、事に善く能、動くに善く時。夫れ唯だ争わず。
故に尤なし。

私家版老子道徳経目次

(一言)泥舟とニッポン

  • 2008年12月22日

「景気優先!」という口実で借金(国債)を積み増し、積立金を取り崩し、最後の賭博。戦を経ぬ「敗戦」と、新たな「戦後」がやってくるのであろう。
「きっと神風が吹く!」「景気は回復する!」「お宝が絶対出てくる!」と、もはやどうにもならぬところまで行ってなおかつ「あいつのせいで・・・クソっ!」と責任転嫁。
これが日本の”常道”。
小泉は確かに自民党をぶっ壊した。そしてぶっ壊れたのは自民党だけではなかった。もっとも、小泉の言葉や力だけでそれが壊れるはずもない。小泉の背後には大勢の人間が控えていた。陰謀論とは無縁の大衆が控えていた。
右へ左へ迷走する現代日本。現下の現象だけ見れば事態は既に末期的とすら言える。ここからさき必要になるのは、モノでもカネでもない何かだと思われるが、それが何なのか書くことは叶わない。
お経ばかり書いてると窮屈になるので一言書いてみた。

寝る前に

  • 2008年12月24日

今日は天皇誕生日。珈琲を啜りつつ朝刊に掲載された陛下のお言葉を読む。「陛下」と書くも「お言葉」と書くも、別に私は右翼でも復古主義者でもない。このあたり、こまごま書き出すときりがないので今日はさらりと流しておくが、思うところ多々あった天皇誕生日であった。
よんどころない用件にて繁華街に出るも、国旗の一つも見あたらず、ジングルベルとクリスマスセールの看板と横文字のコーラスが流れるばかりの雑踏にはうんざりした。重ねて言うが、私は国粋主義者ではない。それでも今日は「なんだかね」と思った一日本人ではある。
道行く人に目を向ければ「日本人」は見あたらず、半端な「アメリカ人」もしくは「偽パリジゃン」ばかり。「おーい、けふは今上天皇の祝日であるぞおおおお」と心中つぶやく。
重ねて言うが私は右翼でも国粋主義者でもない。ただ、時流に流される視野の狭いおっちょこちょいでありたくない、そして尊敬できる人をもてることを慶ぶ一人のニッポンジンであります。
腹立つことの多い毎日ゆえ、今日は精一杯祝いたい。
とか言いつつただ飲んだくれる野人ヒトリ。
国粋主義者も右翼も尻軽もすべて嫌いな野人はいつでも非国民になる覚悟であるぞよ。て、なんのこっちゃ。ボーネンカイボーネンカイ。

老子道徳経より(九)

  • 2008年12月31日

九(功遂身退)

持而盈之不如其已
揣而梲之不可長保
金玉満堂莫之能守
富貴而驕自遺其咎
功遂身退天之道


持して而も之を盈たすは其の已むに如かず。
揣えて而も之を梲くすれば長く保つべからず。
金玉堂に満つれば之を能く守ること莫し。
富貴にして而も驕れば自ずから其の咎を遺す。
功遂げて身退くは之れ天の道なり

私家版老子道徳経目次

経済本の悪趣味

  • 2008年12月31日

ただでさえ雑用に追われた一年も終わろうとしているこの時期にこそ腰を据えて本を読もうと考えていたのに、まるで嫌がらせのように用件が舞い込んで腰砕けになってしまった。腹立ちまぎれに普段は読まない分野の本を手に取ってみた。今日はジョージ・ソロス『ソロスは警告する』(講談社刊)。「再帰性」「可謬性」のくだりなどはなかなか面白く読めたいっぽう、今後の見通しや提言に関しては「所詮他人の言だからね」と、いつもどおりハナシ半分で流し読みで読了。(たぶんソロスもそんな「嫌な」読み手のような気がする)。
投資家としてのソロスの名前は、経済にも投資にも関心の薄い野人の耳にも届いていたが、実際に本を手に取ったのは今回が初めてであった。一般論として、こと「投資」に関連する書籍の類は、私が本を買おうとするときに「買いたくなくなる」要素をたくさん持っている。

  • 大げさな言葉を連ねた帯
  • いまは無い雑誌「BIGtomorrow」みたいな前書き
  • 再読に耐えない本文
  • あってもなくてもいいような後書き

その点、この本は買って得したとまでは言わないが、少なくとも損した気分にはならずにすんだ。ちなみに、私にとっては、ソロスが「興味なかったらとばして読んで」と断っていた部分(再帰性に関する詳論部分)こそ、最も面白く読めた。

記録がてらこの本について以下にメモしておく。

(帯文)
大恐慌は予言されていた!今何がこっているのか これから何が起こるのか!カリスマ投資家松藤民輔氏推薦!「私が今までで一番勉強させてもらった本だ!大ベストセラー講談社 伝説の投資家が警告する「最悪の経済危機」市場経済への過度の依存が今日の危機的状況を生み出した。迫り来る最悪の不況に処方箋はあるか。来るべき未来にわれわれはどう備えるべきか。松藤民輔氏の巻頭解説つき ”大局観”を持つ人間のみが生き残る時代!!

(巻頭解説の中見出し)
「伝説の投資家」の投資法は常にシンプル、ソロスの本が欧米のエリート志願者に読まれる理由、米国株式の暴落は確実に迫っている、ソロスは日本の力が見えていない? 母国日本を自らの言葉で語れるエリートよ、出でよ

ここまでメモして思ったことは、私が読む本を選ぶ基準の一つは、序言なり前書きなりが本文と同じ方向性を持っているかどうかということかもしれない。その点、この本は巻頭解説を書いた人と著者とのスタンスの違いは、太陽と月くらいに違うと思う。そして、太陽と月の違いに関する認識は、これまた人それぞれ甚だしく違うものと思われる。
示唆に富んだ一冊でありました。

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関連エントリ:

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