読了。
山田詠美の短編集。9編収録。
テーマは罪と罰。
捜査1課の刑事であった義弟との関わりのなかから生れた作品集だそうです。
この本を締めくくる「最後の資料」のなかにその義弟の死が描かれています。
ただし、刑事モノではありません。
日常における罪と罰といった感じです。
二人は、憑かれたように他人の生活に夢中になっている。正確に言えば、他人の生活を自分たちのそれと重ね合わせることに。重ね合わせると、どちらかがはみ出す。そのずれた部分に対して、喜んだり悲しんだり。
~「瞳の致死量」より引用
物書きになって、私は楽になった。それは、自分の身にどのような事件が起ころうとも、客観視する習慣を手にしたからだ。大丈夫、やがて作品に結び付く。そう自分に言い聞かせることで、どれ程の問題を片付けて来たことか。
~「最後の資料」より引用
個々の作品の密度はけっこうバラバラのような気がしましたが、「最後の資料」一作で私は満足です。せつなかった・・・。
再読。
章立てがアルファベットで、A~Zまで。それぞれの章にキーワード1個。
構成は実験小説的でも小説そのものは単一のストーリー。
山田詠美の作品、大好きですが・・・・。文中にいきなり太文字で英単語が登場するところが、バラエティ番組で多用される無意味なテロップを連想してしまい少しばかり興醒め・・・。それでも楽しめる作品ではあります。
やるべきことは山積でも一向手につかず
気分を変える為には、まず二日酔い間違いなしの量のアルコールが必要。
こんな時は山田詠美に限ります。
決して口当たりのいいことばかり書いてある訳ではないし、耳、ではなくて目、を塞ぎたくなることもある。
にがい思い出がまた湧き上がってきて忸怩たる思いをさせられることもある
と同時に「受容れられている」という気がする。
読んでいるのはこちら側なのに、文を読み言葉を受容れてるのはこちら側のはずなのに。
子供じゃないからね、自分の中ことは自分自身でカタをつけなければならないけれども、一人では解決不能のときもある。
誰かに話して楽になりたいこともあるけれど、話すことでいやな思いをまた味わうのも出来れば避けたい。話すとしても話す相手はよくよく選ばなければ真意が通じない、もしくは真意を通じさせるのに骨が折れる。
学生の頃、次の日のことなぞ考える必要もなく友人と語り明かした夜を思い出す。
いまはそういうことが出来る機会は・・・数年に一度あればマシ?
話せば聞いてくれるんだろうけれど。自分にしても話が話なら夜を徹して聞くだろうし。でもなかなかそういう機会はなくなったなぁ。
その点、本ならばいくら時間をかけて自分に問いかけても構わないのが至極便利。いつでもどこでもその気になれば対話できるし、誰の時間も奪わない。決して迷惑がられることなどないし。
ただ、そういう対話を誘発してくれる本は決して多くない。
山田作品は、そういう意味で心地よい雰囲気を持っているように感じます。
このあたりが山田作品の人気の秘密!?。
「黒い夜」、イィ・・・
注)書きかけの記事を”非公表”で保存していたところが、googleにキャッシュされて閲覧可能になってしまっていたので、いっそ改稿して更新することにしました。(2006.10.19)
googleは便利だけれど、時々鬱陶しい。ま、非はこちらにもあるんですけどね・・・。
再読。
初出が1992年(福武書店)ということは、もう15年ちかく前の出版か。
道理で若い。
税込価格 : \470 (本体 : \448)
出版 : 文芸春秋
サイズ : 文庫 / 261p
ISBN : 4-16-755804-1
発行年月 : 2001.4
読了。
耽読しました。
特に一昔二昔前の私小説風の文体で書かれた「アトリエ」という作品が印象に残りました。文体は古風でもやはり良い意味で山田風。
この人の作品を読むたびになんだか右脳を刺激される気がします。読みながら没頭できる感じです。なので私にとってはとても貴重な作家、というか、今も存命の作家の中では一番好きなヒトです。
この方も、いつの間にか50歳目前か・・・・。
父と母の出会いと別れも、あがいたって無駄なことだった。何か大きなものによって人間関係は動かされている。私たちにはかなわない力強いものに。そう思うと、何故だか気は楽になる。色々なことを諦めるのに成功して、波立つ心は、ようやく鎮まる。
「そんなことないよ。(中略)人とのつき合いって、全部自分の努力からなんじゃないかなあ」
(「海の庭」より)
山田 詠美著
税込価格 : \1,290 (本体 : \1,229)
出版 : 文芸春秋
サイズ : 四六判 / 237p
ISBN : 4-16-323930-8
発行年月 : 2005.5
利用対象 : 一般
読了。
文庫化された山田詠美の著作はだいたい目を通してましたが、未読のこれをようやく読んでみました。
そんなのって、大人の単なるパターンなんだよね。・・・考えてみれば、気怠く煙草をふかせる女の人って沢山いるじゃない。気怠いって言葉は、わたしたちにとっては、大人への憧れを表すものでしょ。でも、本当は、そうじゃない。本当の大人って、うんと一所懸命なんじゃないのかな。
読んで良かったと思える本でした。
ちなみに私が高校生の時分はこういう文学、まるで一切読んでなかったです・・・。